殖栗正登のバランス野球学

第1回 野球と姿勢 ~姿勢の重要性とは?~2009年09月23日

偏ったトレーニングは、体の偏りを生む

近年、いろいろと野球やトレーニングの情報が飛び交い、選手たちは幼いころから高いレベルの指導を受けられるようになっています。実際にバッティングやピッチングのレベルは向上し、高校生で140km/hを超えるようなピッチャーはもはや珍しいものではなくなってきました。これはひとえに、指導者の方々と選手諸君の努力のたまものだといえるでしょう。

 しかしながら、同時に弊害も出てきているのが現状です。言い方を変えると、偏った指導によって選手たちの体に異常が表れ、ケガをしたり成長が阻害されたりしているということです。

要するに、情報が溢れているばかりにバランスを欠き、本当の意味で適切な指導ができていない例が多く見られるということなのです。 

こんな例があります。あるトップレベルのリーグに所属する大学生選手が肩の痛みを訴えている。施術とトレーニングで回復すると、今度は同じチームの選手が次々と同様の症状を訴えてくる。これはおかしいと感じた私は、練習法やトレーニング法、指導内容を聞いて調べてみました。すると、選手全員に共通する「姿勢」の癖(猫背、右肩上がりと骨盤の後傾)が見えてきたのです。

選手に聞いてみると、「こういう風にするように指導されています」とのこと。確かに、このチームの選手たちはみな同じようなフォームで投げており、しっかり共通項を持っていたのです。画一的な指導というのは、強いチームであればどこでも行われていることですし、一体感を得るという意味でも非常に重要なことだと思います。しかしその指導が合わない選手がいれば、ひとたびケガや伸び悩みにつながってしまうでしょう。このチームの例でも、投げ方が合わなかった選手がケガをしてしまったと考えられるのです。

姿勢の悪化がケガを呼び、パフォーマンスを下げる。

では、どのようなトレーニングを積めばケガをせず、着実に力を伸ばせるのでしょうか。そのヒントは意外にも「姿勢」にあります。姿勢なんか関係あるのかと思われるかもしれませんが、大いに野球との相関関係があるのです。まず、姿勢が悪いと正しい投げ方や打ち方ができません。右肩が下がった姿勢のまま腕を高く上げようとしても、体に無理がかかってしまいます。猫背の姿勢のままバッティングをしようとしても、いいスイングができるはずもありません。また、当然体に負担がかかりますから、ケガをする確率も格段に上がります。まさに百害あって一理なし。姿勢というのはそれほどに大切な要素なのです。良い選手は姿勢がピシッとしているもの。イチロー選手しかり強豪校の選手しかり、きれいな姿勢と野球の技術には相関関係があるのです。

たとえば猫背になると、肩甲骨の内転(背骨に近づける動き)ができなくなり、胸が張れなくなります。すると、投球フォームの加速期にうまく加速し切れずにボールのスピードが落ちてしまいます。バッティングでもトップの位置が作りにくくなり、突っ込みが早くなるなどしてパフォーマンスを落とす可能性が高くなります。

姿勢が崩れてしまう原因はいくつかあります。ひとつは前述のとおり、偏った練習を繰り返すことによって悪い型が作られてしまいます。間違ったフォームで投げたり走ったりすることはもちろんですが、筋力が発達し切っていない時期に無理をしすぎると姿勢悪化につながります。少年野球などで体を酷使すると、早い時期から偏った筋肉のつき方をしてしまうのです。もうひとつは誤った生活習慣。歩くとき、イスに座るとき、布団で眠るとき、みなさんはおかしな姿勢をしていないでしょうか。普段の姿勢もこの機会に省みてみるといいでしょう。

最近ではトレーニングの情報が増え、いろいろなものが紹介されています。こうした部分も重要ではありますが、まずは自分の姿勢という基本的な部分からコンディショニングをしていきましょう。きれいな姿勢という土台があってこそ、確かな技術と強い身体が備わってくるのです。

 

 ということで、姿勢の重要性はおわかりいただけたでしょうか?歪みの矯正法やトレーニング方法など、さらに詳しいことは今後の連載でお伝えしていきたいと考えています。また、姿勢だけでなく体に関する様々な情報をお伝えしていきますのでご期待ください。

(監修=殖栗正登)
(文=渋谷亮)

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プロフィール

殖栗正登先生
殖栗正登先生
  • 生年月日:1976年1月22日
  • 出身地:新潟県
  • 新発田南高校卒業後、立正大学、東京医療専門学校へと進学。
  • 怪我のため、野球部を退部するもプレイヤーとしての情熱を持ち続け、米国、台湾で野球(2軍練習生)として夢を追う。しかし、度重なる怪我によりプレーヤーとしての道を断念し、引退。
  • その後柔道整骨術やカイロプラクティックなど、体に関する様々な分野を学び、整骨とボディバランス整体とストレングス・コンディショニングを融合したボディバランス整体院トレーニングルームを開設。
    現在、ボディバランス整体院で、多くのプロ野球選手から大学野球,高校野球などのアマチュア選手まで幅広く指導。モデルなども指導している。
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