殖栗正登のバランス野球学

第5回 バランスとは何か2009年12月30日

バランスとは何か? 説明できるようになろう

 ファンクショナルムーブテストを紹介するにあたり、まず「バランス」と「ファンクショナル」について説明をしておきたいと思います。
そして第5回ではまず「バランス」についてお話いたします。

私はよく現場で、テクニックやトレーニングの指導をする事が多いのですが、よく指導者の方から聞くのが「あの選手はバランスがよい」という言葉です。
しかし「バランスとは何ですか」と聞くと答えは返ってこない時があります。

私はプロ選手に指導することもありますが、少年野球といえど、指導者が自分の使った言葉を説明できないというのは、本当の意味の指導ができていないのではないだろうか考えています。
そこでまず今回は、「殖栗正登のバランス野球学」となっているので、バランスについて説明したいと思います。

 正しいバランスの定義とは例えば直立位において、体の平衡に重力から抗しているのは、大部分が反射です。
(反射とは、ある刺激に対して受容して、これに対し行動する反応である。ここでは受容器が受容して、反応は効果器である。)

立っている時は
①頭の傾きを感知する前庭感覚
②筋、腱、関節などの深部感覚
③足底の触圧覚
④視覚


 このようにバランスを保つということは、これらの受容器が反応して、効果器に情報が伝わり、頭の位置と目の位置を直すことで、バランスを保ってくれるのです。



 脳幹反射は大きく4つあって
眼球反射―簡単にいうと、頭のブレからくる目線の位置を直そうという反射です。ここには三規菅、耳石器、網膜、眼球運動の反射がある。
前庭迷路反射―頭の位置から(変化)を前庭器の耳石器が検知してそれを修復する反応。
頸反射―頸のねじれが頸椎の上部の関節、靭帯の受容器と頸筋の筋紡錘によって感覚され、この情報から起こる姿勢反応。
立ち直り反射―猫を空中から地面に落とすと、まず頭を地面と水平にして体を起こして手足で着地する。身体の重力に対する前庭、頸、皮膚などの感覚から与えられて起こる反射。


 このように姿勢反射の目標は、頭部を地面に対して垂直に静止させることです。人間や動物はこれらの姿勢反射により、無意識のうちに頭を地面に対して垂直位にいようとします。これは、人間が生きる上で非常に大事なことですが、ピッチングやバッティングは、大脳新皮質で行われる運動野での刺激で筋の収縮は起こります。このように反射と運動は違う命令系です。そのため、スポーツ動作中も頭を地面と垂直に保とうと人は反射でバランスを保つのです。


 ピッチャーで投球時にグローブを高く上げる選手を見ますがなぜでしょう?
これは下半身が突っ込んでいくために(マウンドの傾斜があるので斜め下に)逆にグローブを上げて、逆動作を出して、頭の傾きを直しているのです。
しかし、これではせっかくの体重移動と重心の移動とが逆になり、体の加速が妨害され、フォームの重力加速を下げてしまって、ボールに対する加速度までの勢いを減らしてしまいます。


 このようにナゼ、バランスが必要なのか、野球のパフォーマンスを考えるうえで、考える事が大切です。
例えば加速をするということは、これは頭の位置が傾いて、倒れるということです。ここに重心の移動をうまく乗せれば、この「くずれ=加速」の原則が成り立ち、最終的にキャッチャーミットに対してボールに力を加えるというボールのスピードを上げる力の原則が成り立ちます。
しかし、ここで姿勢反射が過剰に起こると、この勢いがストップしてしまうのです。よくおしりから体重移動をするとこの反射が起きてしまうので注意してください。


 今回は、専門的用語が多くなってしまいました。しかし、「バランス」を説明して、それを選手に伝えるということはこういうことです。私たちは選手に対して指導を行う時、その言葉に対して責任を持たなくては、選手に対して良い指導はできないし、また「バランス・トレーニング」のトレーニングプログラムは作成できないのではないのでしょうか。
私はボディバランス整体院の院長ですが、これは頭を地面に対して垂直な位置を保つ姿勢を作る整体施術です。当院の選手に対してもコンディショニングは試合前には念入りに行っていますので、多くの選手が良い結果に結びついています。
 次回は、ファンクショナルについてお話したいと思います。

(文=殖栗正登)

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プロフィール

殖栗正登先生
殖栗正登先生
  • 生年月日:1976年1月22日
  • 出身地:新潟県
  • 新発田南高校卒業後、立正大学、東京医療専門学校へと進学。
  • 怪我のため、野球部を退部するもプレイヤーとしての情熱を持ち続け、米国、台湾で野球(2軍練習生)として夢を追う。しかし、度重なる怪我によりプレーヤーとしての道を断念し、引退。
  • その後柔道整骨術やカイロプラクティックなど、体に関する様々な分野を学び、整骨とボディバランス整体とストレングス・コンディショニングを融合したボディバランス整体院トレーニングルームを開設。
    現在、ボディバランス整体院で、多くのプロ野球選手から大学野球,高校野球などのアマチュア選手まで幅広く指導。モデルなども指導している。
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